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子供の教育は、靴紐結びから (上)

2019年7月24日

夏休みになりました。お父さんお母さん、お子様の夏休みの生活をどのように計画してあげましたか?家族旅行ですか?進学塾、学習塾、習い事……何であれ、もう申し込みは済ませましたね?

え、外出したくないから、「いい子だから、スマホやパソコンで遊んでなさい」と言ったですって?

それなら、今日は家でお子様に靴紐の結び方を教えましょう。

ではその極意を申し上げましょう。でも子供に靴紐の結び方を教えることのメリットについてお話しする前に、今の子供が何を学んでいるか考えましょう。

ハイテクの新知識は生活の常識

アメリカのコンピュータ用アンチウイルスソフトメーカーAVG Anti-Virusは、2011年にある調査結果を発表しました。AVGは世界各地のお母さん2,200人を対象として自分の2-5歳の子供のインターネット、電子製品の使用状況についてアンケートを行いました。このお母さん達は、アメリカ、カナダ、イギリス、フランス、ドイツの人もいれば、イタリア、スペイン、日本、オーストラリア、ニュージーランドの人もいました。

アンケートの結果、現在の2-5歳の子供はほとんどパソコンを起動し、マウスを使用し、ゲームをしたり、両親に代わってスマートフォンを操作したりすることができることがわかりました。また、子供達は、水泳をする、朝ご飯を作る、靴紐を結ぶといった生活技能をマスターする前に、これら全てをこなせるようになります。AVGの研究結果を一部抜粋し、現代っ子の学習の動向を手早くご理解いただきます。

表1、各国の2-5歳の児童を対象としたハイテクの新知識と生活常識の学習の比例分布比較表

出典:AVG (2011). AVG Digital Skills Study. Retrieved from https://avg.typepad.com/files/avg-digital-skills-study-full-briefing.pdf

もしかしたら、2011年に民間の一企業が行った調査だから、台湾や自分の家の子供は当てはまらないとお思いになるかもしれません。ではこれから経済協力開発機構(OECD)が2018年に発表した研究報告を見てみましょう(補充説明:OECDの会員国は世界中に分布し、そのPISA参加者には台湾の学童も含まれます。)

OECDが3年1回に開催する学習到達度調査(略称PISA)の結果、15歳の青少年の91%は手軽にスマートフォンを取得できる、学生の71%はノートパソコンを使用する方法がある、学童の60%は手元に少なくとも1台のパソコンがある、青年の53%は自分のタブレットにインターネット接続機能があることがわかりました(OECD、2017)。このことから、技術の進歩により21世紀における学童の学習の方向が大きく変化していることがうかがえます。生活常識を学ぶ機会と能力は徐々に減少すると思われます。

しかしながら、お子様の教育に関心を寄せる保護者の皆様、靴紐を結ぶという一見何でもない生活技能が実は子供達にもっと多くの利をもたらすことをご存じですか?イギリスのデイリー・テレグラフ(The Telegraph)は、子供に靴紐のないベルクロスニーカーを履かせることで、子供の認知能力の発達が遅れると報道しました(Telegraph、2015)。子供がうまく靴紐を結べないからと言って諦め、他の簡単な方法や道具で代用すると、誤った価値観と態度が身に付き、将来挫折したり、つまづいたりした時、直視せずに逃げてしまうようになるからです(Telegraph、2015)

子供に靴紐の結び方を教えることで、子供が正しい姿勢で生活し、物事に対処するようサポートすることができますし、ほかにも子供の心理の発達にプラスになることがたくさんあります。次週またお話しします。

今日からお子様に靴紐の結び方を教えてさしあげてはいかがですか。

参考文献: